【老犬の歯周病】口臭を感じたら今すぐやるべきチェックと4つの対処法

老犬と暮らしていると、年々気になってくるのが「口臭」です。

老犬になると歯周病になる確率がグンッと上がり、ほとんどの犬がかかっているほど厄介なもの。私が働いていた動物病院でも以下のような多かったです。

  • 最近うちの子の口臭が酷くて…
  • ご飯を食べにくそうにしてる。歯が痛いのかな?
  • 歯周病がこれ以上進行しないためにはどうすればいいの?
  • そもそも歯周病の予防ってどうすればいいの?

愛犬の口臭から歯周病に悩む飼い主さんはとても多いと感じました。

そこで今回は、老犬の歯周病について症状やケア方法や放っておくとどうなってしまうのかなどについて詳しく解説していきますのでぜひ参考にして下さい!

犬の歯周病とは…4つの症状の総称を指す!

  • 歯肉炎
  • 歯周炎
  • 歯槽膿漏
  • 歯根膿瘍

犬の歯周病とは、上記の歯肉炎や歯周炎の総称のことを言います。口内の病気の中で最も多いと言われている病気です。

歯周病の初期段階が歯肉炎。この段階では飼い主さんも気づきにくく
「歯肉炎→歯周炎→歯槽膿漏→歯根膿瘍」と状態が悪化していきます。

まず最初に、歯周病なのか?歯周病ならどのステージなのか?を知るためにも愛犬の口の中や最近の出来事をチェックしてみましょう。

老犬の歯周病チェック

下記が歯周病のチェックリストになります。これまでにチェックをしたことがない、という場合もこの機会に一度チェックしてみてください!

  • 歯茎に赤み・腫れがある
  • 歯に歯石が付いている
  • 口臭がある
  • 口の周りを触られることを嫌がるようになった
  • 食欲はありそうなのに食べない
  • 食べることに時間がかかるようになった
  • 食事中によくこぼすようになった
  • 柔らかいものしか食べなくなった
  • おもちゃやガムなどに血が付いている
  • 前足によだれの跡や血液が付いている

当てはまる項目はいくつありましたか?

0個:歯周病の可能性は低い
1個:歯周病が始まっている可能性が考えられる
2個以上:歯周病が進行している

1つでも当てはまる場合は動物病院へ相談するのがおすすめです。もし、放置すればどうなってしまうのかも事前に見ておきましょう!

放置するとどうなるの?老犬の歯周病8つの症状!

  • 歯茎が赤く腫れ上がる
  • 歯石がたくさん付着する
  • 口臭がきつくなる
  • 歯茎から血・膿が出る
  • 歯がグラグラしている・抜ける
  • 顔が腫れ頬から膿が出る
  • 下顎の骨折
  • 全身的な症状が出る

上記は老犬の歯周病の症状を段階順で表しています。

歯周病を放っておくと最終的に下顎が骨折することがあり、肺炎・心内膜炎・糖尿病などの症状が出ると最悪の場合死に至ることもあります。

歯周病の進行と症状を詳しく見たい場合は下記をご覧ください。

歯周病の進行と症状
❶ 歯茎が赤く腫れ上がる

歯茎が赤くなるので比較的気付きやすいですが、実際には正常な歯茎かどうかの区別が付きづらいので、飼い主さんは進行してから気付くパターンが多い。
歯茎が赤くなる程度の軽い炎症では痛みもほとんどなく、犬にも変わった様子はないため、この時期に病院へいかれる方はごくわずか。

❷ 歯石がたくさん付着する

歯石は食べカスから歯垢が作られ、それが固まってしまったものです。この状態を放っておくと歯垢が増え歯の周りの組織の炎症が起こります。
犬の歯垢が歯石に変わるのは3日程度。歯石ができると歯垢の付きやすさをさらに助長し悪循環になる。
歯に歯石がたくさんついている場合は、すでに歯周病にかかっている可能性が高いので早急に動物病院へ相談するのがベスト。

❸ 口臭がきつくなる

進行とともに口臭が強くなる傾向があるので、愛犬とのスキンシップが多い飼い主さんは比較的早い段階で気付き、悪化すると同じ部屋内で口臭がわかる。
口臭は歯周病だけではなく、内臓の病気の可能性も考えられる。
歯周病か他の病気か正しく診断する必要があるので、口臭が気になりだしたら早めに動物病院へ相談しよう。

❹ 歯茎から血・膿が出る

老犬の歯茎から血や膿がでる状態は、歯周病が進行している証拠。例えば、犬が噛んでいたおもちゃやガムに血がついていたなどは要注意。
歯肉や歯根、感染などで炎症が状態化し、出血が簡単に起こるようになった状態。血に膿が混じるとかなり重症化している。
みも伴うので、早急に動物病院での治療が必要。

❺ 歯がグラグラしている・抜ける

歯周ポケットが広がっていることや歯肉の後退、歯槽骨が溶けてしまっているなどの状況は深刻。
歯根まで歯垢・歯石が付いてしまっているので歯の安定を維持できない。
歯が抜けるだけではなく、顎の骨がもろくなり骨折してしまう恐れがある。

❻ 顔が腫れ頬から膿が出る

歯槽骨の吸収が進行して頬に穴が貫通、上あごの奥歯の方で歯根膿瘍が生じてしまっている状況。
歯と歯茎から膿が排出されて頬が腫れるため痛みで食欲が落ちる。
膿が溜まった状態を放置すると弾けてほっぺたに穴が開き、そこから膿がでてくることもある。

❼ 下顎の骨折

老犬は歯周病を更に放置すると下顎を骨折してしまうことがある。
歯周病菌の融解によって頬の骨の強度が弱くなってしまい生じてしまう症状。
比較的小型犬に多く見られ、この骨折は感染した骨が原因のため治療が困難になる。
口が開きづらい・顎が左右非対称・ご飯やおやつを食べるたびに痛みを訴えたり食べなかったりする場合はすでに顎に影響が生じている事が考えられる。

❽ 全身的な症状が出る

肺炎・心内膜炎・糖尿病など全身的な症状が出ることがある。

肺炎・・・歯茎の病原菌が血液に乗って肺に到達すると起こる
心内膜炎・・・歯茎の細菌が血液に乗って心臓に到達すれば炎症を起こす
糖尿病・・・歯周病の慢性的な炎症で起こる

肺炎は犬にとってとても苦しく、心内膜炎は心不全など突然死の原因とされることも多い。糖尿病は様々な病気を誘発し悪循環を生む厄介な病気。
いずれも命に関わる病気で早期治療が求められる。

歯周病かも?と思った時にはすぐ動物病院へ相談し、適切な処置を受けるのがベストです。

それでは、老犬がすでに歯周病になってしまっていて、これ以上悪化しないためのケア方法を見ていきましょう!

老犬の歯周病ケア!悪化させない4つの方法

  • 歯磨き
  • 歯石除去
  • 抗生物質などの投薬
  • 抜歯

老犬の歯周病をこれ以上悪化させないための方法は4つあります。

その
歯磨き

歯周病になってしまった犬に自宅で毎日出来ることは、これ以上歯石が歯につかないようにする予防です。

歯垢は3日で歯石に変わりますので最低でも3日に1回、できれば1日に1回歯磨きをしてあげて下さい。

これは、まだ歯周病になっていない犬にもとても有効的です。愛犬のためにも、毎日少しずつでも良いので歯磨きをしてあげましょう。

その2
歯石除去

歯周病になっている子の歯は、ほとんどの場合歯石がびっしりと付いてしまっている状況です。

歯石は人間と同様、歯のクリーニングで除去できることが多いのですが、一度固まってしまうと除去が難しく麻酔をかけて除去する必要があるケースもあります。
初期の段階であれば、歯石を取った後にこまめな歯磨きをして予防することができるのですが、かなり悪化している場合はこの治療だけでは解決されないこともあります。

治療費はこちら
治療費治療時間
治療費治療時間通院の必要性
無麻酔:5,000~15,000
麻酔有:30,000~70,000
30分前後
(歯石付着の程度によって時間は異なる)
3ヶ月に1回
※獣医師の指示に従って下さい
その3
抗生物質などの投薬

抗生物質などの投薬で、菌を押さえたり痛みを和らげることです。

歯周病は口内に細菌が存在しているので、これを取り除き口腔内の細菌バランスを整える必要があります。

歯周病の治療薬は主に病変の拡大や炎症を抑制するお薬をはじめ、処置後の痛みを緩和するためのものなどいくつか処方されるでしょう。

歯周病の状態によって出される薬や治療方法が異なりますので、獣医の指示に従って正しく投薬をして下さい。

その4
抜歯

抜歯をすることで他への影響を起こさないようにすることです。

重度の歯周病の場合は、抜歯をするケースもあります。

飼い主さんからすると「出来ることなら抜歯をせずに残してほしい」と言う気持ちがありますよね。

しかし抜かなければいけなくなるほど悪化している歯を残していると、更に状態が悪くなる一方です。

犬の場合、歯を抜いてしまっても生活に大きな影響を与えることはありません。

影響が出るとしたら、抜歯後歯肉を縫合するため痛みが生じることや、縫った場所が開いてしまわないように2週間ほどは柔らかい食べ物しか与えてはいけないということです。

周りの組織が炎症を起こしてしまっているほどひどくなっている歯を無理矢理残すよりも、抜歯をして口腔内を良好に保つほうが犬にとって健康で過ごしやすい生活を送る事ができます。

何よりも、愛犬が歯周病にならないために、日頃から予防を心がけることが大切です。

3歳以上のほとんどの犬が歯周病!予防は徹底的に

老犬のほとんどが歯周病を患っていると言われています。

ですが、実は3歳以上の8割が歯周病をもっていると言われていて、高齢になればなるほどこの確率も高くなります。

つまり、すべての老犬が歯周病を持っているといっても過言ではないほど、当たり前になっているのが現状です。

犬の歯周病の多くは「歯磨きが不十分」ということが原因です。

さらに年齢を重ねるとともに、口の中を殺菌する効果のある唾液が減少してしまうことや柔らかい食事なども原因になります。

歯周病を防ぐためには、とにかく歯垢が歯石に変わってしまう前に除去することです。なので、できれば毎日の歯磨きをして徹底的に予防をしましょう!

老犬の歯周病まとめ

  • 歯周病は、歯周炎や歯肉炎の総称
  • 老犬の歯茎が赤く腫れていたら歯周病の初期症状
  • 老犬の歯周病を放っておくと、ほっぺたに穴があき膿が出てくることもある
  • 全身に菌が周り、最悪の場合死に至ることもある

老犬のほとんどが歯周病と言われていますが、すでにかかってしまった場合はこれ以上進行しないように対策をするほかありません。

できるだけ初期の段階で気付くことが、これ以上悪化させないためのポイントです。歯茎が赤く腫れていたり、口臭が気になりだしたら早急に動物病院へ行くようにしましょう。

最悪の事態を避けるために、日頃から犬の口腔衛生に気を配る、そして何よりも歯周病になることを想定しておくことが大切です。

歯周病の予防は基本的に「予防」が重要な役割を担っています。愛犬のために、日頃から心がけましょう。